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防災投資はGDP比0.62〜0.70%が目安 EY提言の読み方

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ニュースの概要

EYストラテジー・アンド・コンサルティングが、防災・減災投資に関するレポートを2本公開した。1本目は日本全体で毎年どれほどの投資が妥当かを示し、2本目は自治体ごとの優先順位づけを扱う。対象は国土強靱化、気候変動への備え、水道や電力などのライフライン強化、地域の防災力、防災のデジタル化まで幅広い。国・自治体・公営企業を合わせた事業規模は、GDP比0.620〜0.700%、年間約4.2兆〜4.7兆円が暫定的な目安とされた。0.70%を超える追加の投資は、費用対効果を厳しく見極めたうえで判断すべきだという考え方も示されている。

引用元: EY、防災・減災投資の年間規模をGDP比0.620~0.700%と提言(EY Strategy and Consulting)

分析・見解

4.2兆〜4.7兆円という幅に込められた意味

この提言で注目すべきは、金額そのものより「上限」を置いた点にある。防災の議論は、被害が出るたびに「もっと予算を」という方向へ振れやすい。しかし財源には限りがある。EYはGDP比0.700%という線を引き、そこから先は費用対効果を吟味するよう促した。これは「どこまでやれば十分か」という問いに、初めて数字で答えようとする試みだ。

もちろん、この数字は暫定的な目安にすぎない。年によって災害の規模は大きく変わる。基準値を示すことと、被災後の復旧費用を別枠で考えることは、分けて理解する必要がある。

全国一律ではなく自治体ごとに順位をつける発想

2本目のレポートは、自治体別の優先順位を扱っている。ここが実務上は重要だ。津波リスクの高い沿岸部、土砂災害の多い山間部、水害に弱い都市部では、必要な投資がまったく違う。人口が減る地域では、堤防や水道管を全部更新する余力もない。

たとえば高度成長期に整備した水道管は、法定耐用年数の40年を超えたものが全国で2割を超える。すべてを同時に直すのは不可能だ。どこから手を付けるかを、リスクの大きさと人口、財政力で決める仕組みが求められている。

老朽インフラと気候変動が同時に押し寄せる

日本の防災投資が難しいのは、二つの波が重なるからだ。一つは橋やトンネル、上下水道の老朽化。もう一つは、線状降水帯(=同じ場所に長時間大雨を降らせる雨雲の列)に代表される豪雨の増加である。昔の基準で造った堤防や排水施設が、今の雨量に追いつかなくなりつつある。

過去の国土強靱化の5か年加速化対策は、5年で約15兆円という大きな枠を設けた。今回のEY提言は、それを単発の対策でなく、毎年続ける基準額として捉え直している点が新しい。

防災DXは削れない費用ではなく費用を減らす手段

提言の対象には防災DX(=防災にデジタル技術を使うこと)も含まれる。センサーで水位を測り、衛星やドローンで被害を把握し、データで避難の判断を早める。こうした仕組みは、コンクリートの堤防より安く、更新も速い。

限られた予算の中では、ハード整備だけに頼らず、情報で被害を減らす手段を組み合わせるほうが効率的だ。ただしシステムを入れるだけでは意味がない。現場の職員が使い続けられる運用まで設計して、初めて投資が生きる。

ビジネスへの影響

自治体向け事業の需要は優先順位に沿って動く

提言が実際の予算編成に影響を与えれば、自治体の発注は「リスクが高く、効果が測れる分野」へ集まる。水道管の更新、河川の水位監視、避難情報の配信などが典型だ。

防災関連の事業者にとって、提案の切り口が変わる。製品の性能を訴えるだけでは弱い。「この地域のこの被害を、これだけ減らせる」と示せる企業が選ばれやすくなる。導入後に被害額がどれだけ減ったかを測る仕組みも、あわせて提示したい。

一般企業はBCPを自治体計画に結び付ける

メーカーや小売、物流などの企業も無関係ではない。自治体が優先して守るインフラは、事業継続の前提になる。自社の工場や倉庫がある地域で、どの道路や水道が先に強化されるのかを確認しておくと、拠点の見直しに役立つ。

具体的には、自治体の公表する強靱化計画やハザードマップを読み、BCP(=災害時の事業継続計画)の想定と照らし合わせる。差があれば、非常用電源や代替ルートを自社で補う判断ができる。

投資判断には費用対効果の物差しを持つ

上限の考え方は、民間にも使える。防災対策は、やればやるほど安心だが、際限なく費用がかかる。被災時の損失額と発生確率を見積もり、対策費と比べる習慣をつけたい。

まず影響の大きい設備から着手し、年ごとに見直す。全部を一度に整えるより、毎年一定額を積み上げるほうが、経営の負担も小さい。EYの提言が示した「毎年の基準額」という発想は、企業の予算にもそのまま応用できる。

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